早稲田大学スポーツ科学学術院の宮地教授はe-ヘルスネット(厚生労働省)の中でストレッチングのリラクゼーションの効果について次のように説明されています。

「30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチングの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ(α)波を増加させ、心拍変動を増加させ心拍数を低下させること、すなわち自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化させることが明らかとなっています。
生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的か否かについてエビデンスが十分とは言えませんが、習慣的なヨガの実施が血圧を低下させること、あるいは座位体前屈で評価される柔軟性が高い人では動脈硬化度が低いことなどが報告されています。
これらはストレッチングのリラクゼーション効果が関与しているのかもしれません。」

また次のように
「走ったり筋トレしたりは辛くていやだけど、ストレッチングなら家で楽しくできるからやってみたいという人も多いのではないでしょうか?そのような方は、まずストレッチングだけでも始めてみてください。
まず始めてみることで、いろいろな体の変化に気がつくことと思います。」
とおっしゃています。
出典: e-ヘルスネット(厚生労働省):ストレッチングの効果
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦

宮地教授はe-ヘルスネット(厚生労働省)のストレッチングの実際の中で4つの実施方法を紹介されています。
関節の動きの有無により
・静的(スタティック)
・動的(ダイナミック)

・一人(セルフ)
・二人組(パートナー)

また安全の観点から次のようにも述べています。
「健康づくりの現場では安全第一で、傷害のリスクが少ないスタティックストレッチングが用いられることが多いようです。
柔軟性の向上の効果に関してはスタティックストレッチングがダイナミックストレッチングに劣ることはないことがわかっています。
パートナーストレッチングは補助者に高い技術を求められることが少なくないため、安全に実施するという観点からセルフスタティックストレッチングが勧められます。」
出典: e-ヘルスネット(厚生労働省):ストレッチングの実際
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦

宮地教授はe-ヘルスネット(厚生労働省)のストレッチングの実際の中で注意すべき原則を五つ上げています。
1.時間を20秒以上かけて伸ばすこと
最初の5-10秒程度は適度な伸展度合いに定めるための「ムダな時間」だからです。
2.伸ばす部位を意識すること
3.痛くなく気持ちよい程度に伸ばすこと
痛いほど伸ばすと伸張反射が働き、かえって筋が硬直するので効果が低下します。
4.呼吸を止めないこと
腹部を圧迫するような種目では呼吸が止まりがちでそのために血圧の上昇が起こる場合がありますし、ゆっくりと深い呼吸は緊張を和らげる効果があるからです。
5.部位を適切に選択すること。
全身のストレッチングをくまなく行うためには何時間も必要です。目的に応じて適切な種目や部位を選ばないと非効率だからです。
最後に宮地教授は
「ストレッチングは広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。
ストレッチングは強度が低く動きが少ないため安全な運動ですが、一方で誰でも簡単に行える運動であると誤解されている面があります。
正しい方法で実施しなければ効果も十分に期待することができません。
上記5つの原則を遵守して正しいストレッチングの実施に努めることが肝要です。
また健康づくりの運動として単独で行うというより、有酸素性運動や筋トレなどと併せて実施するとより良い効果が期待できるでしょう。」
と安全に正しい方法でストレッチングを推奨されています。
出典: e-ヘルスネット(厚生労働省):ストレッチングの実際
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦