目次
1.睡眠5原則
2.快眠するために
3.体内時計
4.セロトニンとメラトニンの関係
5.成長ホルモンとコルチゾール
6.必要な栄養
7.お勧めリンク
8.おすすめ本
9.まとめ

1.睡眠5原則

良い睡眠のために厚生労働省は「睡眠5原則」を推奨しています。
・第1原則: からだとこころの健康に適度な長さで休養感のある睡眠を。
・第2原則: 光・温度・音に配慮した良い睡眠のための環境づくりを心がけて。
・第3原則: 適度な運動、しっかり朝食、寝る前のリラックスで眠りと目覚めのメリハリを。
・第4原則: カフェイン、お酒、たばこなど、嗜好品とのつきあい方に気をつけて。
・第5原則: 眠れない、眠りに不安を覚えたら専門家に相談を。
また、「6時間以上の睡眠時間を確保する」、良い睡眠には量(時間)と質(休養感)が重要とうたっています。

2.快眠するために

e-ヘルスネット(厚生労働省)では快眠するための生活習慣はふたつの役割が有るそうです。一つは「運動」や「入浴」などの直接的に快眠をもたらすもの。もう一つは間接的な役割で、良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付いて快眠が得られると書かれています。更に、そのための習慣として「光浴」があり、そしてこれらの習慣はそれを行うタイミングが重要との事です。
では、「良い習慣」つまり「規則正しい生活習慣」と「体内時計」について見ていきましょう。

なぜ生活習慣が大切なのか
体の中には体内時計があり睡眠に備えてくれる。
1.睡眠のタイミングを決める。
2.前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節する。
これらの準備は自分の意志ではコントロールできない。規則正しい生活こそが、体内時計を整えそこにプログラミングされている睡眠を円滑に行う秘訣。
運動
有酸素運動を習慣的に続ける。
時間:夕方から夜(就寝3時間ぐらい前)が有効。
効果:加温効果。
就寝の数時間前に運動によって脳の温度を一過性に上げてやることがポイント。 そうすると床にはいるときの脳温の低下量が運動をしないときに比べて大きくなる。睡眠は脳の温度が低下するときに出現しやすくなるので、結果として快眠が得られやすくなる。
入浴
時間:就寝の2~3時間前の入浴が理想。
効果:加温効果。
体温の上昇が0.5度くらい(38度のぬるめのお湯で25-30分、42度の熱めのお湯なら5分程度)。
また半身浴(腹部までを湯船につけ、約40度のお湯で30分ほど汗をかく程度に入浴する)。
自分の体調や好みにあった入浴を選択。
光浴
効果:体内時計を24時間に調節すること。
ヒトの体内時計の周期は24時間より長めにできているため、長めの体内時計を毎日早めてあげないと生活が後ろにずれてしまう。朝の光には後ろにずれる時計を早める作用がある。
昼間に明るい光を浴びることによって、夜に分泌されるメラトニンというホルモンが増えることが知られています。
夜の光は禁物:朝の光と反対で夜の光は体内時計を遅らせる力があり、夜が更けるほどその力は強くなる。家庭の照明でも(照度100~200ルクス)、長時間浴びると体内時計が遅れる。また日本でよく用いられている白っぽい昼白色の蛍光灯は体内時計を遅らせる作用があるため、赤っぽい暖色系の蛍光灯が理想と言える。
食事
体内時計を整えるためにも規則正しい食事が望まれる。
出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット:快眠と生活習慣
著者名:樋口 重和

3.体内時計

体内時計とはどのようなものなのでしょう。

体内時計
概日リズム(サーカディアンリズム)を形成するための24時間周期のリズム信号を発振する機構。
概日リズム(サーカディアンリズム)
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っている。 人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能の約24時間のリズムを示す。この約24時間周期のリズムが概日リズム(サーカディアンリズム)。
出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット:体内時計

4.セロトニンとメラトニンの関係

メラトニンが分泌され始めると眠くなる。ではメラトニンとはどのようなものなのでしょうか。

メラトニン
松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモン。日々の睡眠や体温、ホルモン分泌などの概日リズム(サーカディアンリズム)の調節に関わっている。必須アミノ酸のトリプトファンを原料(基質)として合成される。
体内時計:体内時計が発振する概日リズムのシグナルは松果体に伝達されて「NAT活性」を抑制。体内時計の活動は昼高夜低。結果的に松果体でのメラトニンの産生量、すなわち血中メラトニン濃度は逆に昼間に低く夜間に高値を示す。
光:「NAT活性」は外界の光の影響も受ける。日中は照度が数万〜十数万ルクスもある太陽光のような強い光によってメラトニン分泌量は著しく低下、夜間であっても明るい人工照明が目に入ることによってメラトニン分泌量は低下する。
このように、メラトニン分泌は体内時計と環境光の両方から調節を受けている。
松果体
睡眠ホルモンであるメラトニンを分泌する脳器官。
NAT(N-アセチルトランスフェラーゼ)
セロトニンをN-アセチルセロトニンに変換する。
セロトニンとの関係
メラトニンはセロトニンが松果体でビタミンB6やナイアシン、マグネシウムを得て生成される。セロトニンを増やすことが重要。
出典: e-ヘルスネット(厚生労働省):メラトニン
著者名:三島 和夫
出典: 厚生労働省:セルフメンタルヘルス

5.成長ホルモンとコルチゾール

コルチゾール(ストレスホルモン)
副腎皮質から分泌される、生命を維持するために欠かせないホルモン。早朝に最も多く分泌され1日のリズムを作る。 一時的なストレスを感じたときに正常な量が分泌されストレスに対抗する。しかし長期に及ぶストレスを抱え込んでしまうと、過剰に分泌されたり、副腎が疲れて必要なタイミングで分泌ができなくなったりして、やがてストレスに対処できなくなってしまう。 長期間に及ぶストレスがある場合は、免疫抑制作用により、免疫力が落ち、感染症やがんなどの発症リスクの増加につながる。
成長ホルモン
深い睡眠に入ると、成長ホルモンが分泌され始める。 成長ホルモンは子どものときは発育を促し、大人では細胞の修復を行う。 眠りが浅いと成長ホルモンが分泌されず、肌荒れ、体がだるい、疲れが取れないなどの症状が出る。 また、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され心身の緊張状態を引き起こし免疫力が低下(ナチュラルキラー細胞が減少)するこも明らかになっている。 睡眠から覚醒する明け方になるとコルチゾールが分泌されて、体内にある糖分をエネルギーにかえて朝の活動の準備が始まる。 コルチゾールは起床後30分から60分の間に大量に分泌されたあとは次第に低下。 慢性的なストレス状態ではこのコルチゾールが日中も大量に分泌され心身に影響を及ぼす。
出典: 厚生労働省:セルフメンタルヘルス
出典: 健康管理検定:りずみんの健康管理コラム

6.必要な栄養

セロトニンとメラトニンに必要な栄養(トリプトファン)
乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ等)、大豆製品(豆腐、納豆等)、タマゴ、バナナ等。
コルチゾールの合成に必要な栄養
ビタミンC(いちごやキウイ、じゃがいも、赤ピーマン等)。ストレスが蓄積するとビタミンCの消費が激しくなる。

詳しくは下の「お勧めリンク」からリンクして専門家が書かれているページをご覧下さい。

7.お勧めリンク

厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]では、
秋田大学大学院 医学系研究科精神科学講座の三島和夫教授が「休養・こころの健康」の中で「睡眠と生活習慣病との深い関係」「眠りのメカニズム」に関して詳しく説明されています。また「健康用語辞典」で「メラトニン」と睡眠の関係に関しても書かれています。
東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野の西大輔教授は「セロトニン」について書かれています。
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所の樋口重和氏は「快眠と生活習慣」について書かれています。
埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科の有竹清夏教授は「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」で睡眠について図を用いて解説されています。
スリープクリニック銀座の渋井佳代氏は「女性の睡眠障害」について書かれています。

8.おすすめ本

超熟睡トレーニング―15万人の“日本人”のデータを集め、睡眠改善をしてきた「上級睡眠健康指導士」だけが知っている
著者:角谷 リョウ
価格 ¥1,650(本体¥1,500)
Gakken(2024/11発売)
紀伊国屋書店

9.まとめ

・体内時計を整える。
・セロトニンを増やす。
・毎日充分の睡眠時間(6時間以上)が取れている。
・寝室環境(温度、音、明るさ等)が快適である。
・しっかり朝食を取り、必要な栄養を取り、適度な運動、リラックスが出来ている。
・夕方以降の喫煙、飲酒、カフェインを控える。
・寝る前の食事、スマホ、PCは避ける(メラトニン分泌量が低下)。

参考URL


厚生労働省:「成人のためのGoodSleepガイド」(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001222161.pdf)
厚生労働省 e-ヘルスネット
厚生労働省:セルフメンタルヘルス
健康管理検定:りずみんの健康管理コラム