目次 |
1.健康寿命をのばす |
2.動脈硬化 |
3.動脈硬化の種類 |
4.塩分過剰と高血圧の関係 |
5.高血糖とは |
6.血糖値スパイクで血管がダメージ |
7.ロカボと低GI食品のちがい |
8.DHA/EPA効果 |
9.脂質異常症とは |
10.活性酸素は必要だけど? |
11.抗酸化物質 |
12.善玉コレステロールを増やす合言葉「オサカナスキヤネ」 |
13.おすすめ本 |
14.まとめ |
1.健康寿命をのばす
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団のウェブサイトのリーフレット:「健康寿命をのばすために」の中で健康寿命を延ばす事を提唱しています。健康寿命を左右するのは実年齢ではなく血管年齢(動脈硬化の進行具合)とあります。
2.動脈硬化
では、どのように動脈硬化がおきるかを見ていきましょう。
血管壁が高血圧や高血糖、脂質異常などにさらされ続けることで内皮細胞の層に傷が生じ、
そこから血管壁のなかに血中の悪玉コレテロール(LDL コレステロール)が入り込みます。 |
これは異物の侵入とみなされ、免疫システムによって攻撃されますが、攻撃の残骸である粥かゆ状のプラーク(アテローム)が蓄積して瘤こぶのように膨れ上がり、血管を狭めます。 |
また、このプラークがはじけることによりできた傷を修復するために、血小板が集まって血栓をつくります。 |
これがますます血液の通り道を狭くするうえ、こうしてできた血栓がはがれて血液内を漂い、血管を詰まらせることもあります。 |
出典:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:リーフレット「健康寿命をのばすために」
著者名:島田 和幸 |
3.動脈硬化の種類
また、厚生労働省のe-ヘルスネット「動脈硬化」の中で種類について書かれています。
粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化) |
大動脈など比較的太い動脈に粥腫(じゅくしゅ)ができる。動脈の内膜に血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが入り込んでドロドロの粥状物質(プラーク)となり蓄積すると、血管が狭くなり、臓器に酸素が行き渡らなくなるため、狭心症や一過性脳虚血発作が起こります。また、プラークが破綻して内部に広がり血栓ができると、血管が詰まってしまうため、心筋梗塞や脳梗塞に至ります。 |
細動脈硬化 |
主に脳や腎臓にある細い動脈が硬化してしまうこと。主に高血圧によって引き起こされ、進行すると血管が破裂して脳出血に至る恐れがあります。 |
中膜硬化(メンケルベルグ型硬化) |
動脈の中膜にカルシウムが沈着蓄積して硬くなる。 |
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「動脈硬化」
著者名:有屋田 健一 |
4.塩分過剰と高血圧の関係
ではなぜ塩分の取りすぎが血圧を上げてしまうのか?
人間の体の中では、水分と塩分が一定の濃度に保たれています。 食塩をとり過ぎると、一時的に高くなった塩分濃度を下げるために、体内に水分がため込まれます。 これによって、心臓に送り込まれる血液量が増え、血管にかかる圧力が増し、血圧が上がってしまうのです。 |
出典: 神奈川県公式ホームページ:「塩分過剰が血圧を上げる理由」 |
5.高血糖とは
体の臓器や組織では、細胞がたえず血糖(血液中のブドウ糖)を取り込み、エネルギーに換えて活動しています。その取り込み作業にはインスリンが不可欠で、インスリンの作用が不足すると、血糖値が高い状態すなわち高血糖をまねきます。 |
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省):高血糖
著者名:山岸 和匡 |
6.血糖値スパイクで血管がダメージ
血糖値スパイク |
常に食事に高GI食品を取り、食後血糖値が正常値から急激に上昇して、その後急激に正常値まで低下する事。これを続けると血管にダメージを与える。 |
7.ロカボと低GI食品のちがい
ロカボとは |
1食で摂取する糖質量を20~40gにする。 |
低GI食品とは |
糖質量を制限するのではなく、糖質の吸収が穏やかな食品。
玄米、全粒粉パン、そば、キノコ類、ブロッコリー、レタス、キャベツ、ほうれん草、ナッツ、プレーンヨーグルト(無糖または低脂肪)、りんご、オレンジ、グレープフルーツ等。 |
8.DHA/EPA効果
EPA/DHA摂取、死亡リスク低下 |
「厚生労働省の研究班が1980年から24年間にわたり、約9000人を対象に追跡調査を行った結果、魚をたくさん食べてDHAとEPAを多く摂取している人には、心疾患や脳卒中など心血管疾患の死亡リスクが、有意に低下する傾向がみられました。」(DHA・EPA協議会ニュースレターから抜粋) |
インスリン抵抗性を低下させる |
「オーストラリアのニューカッスル大学近隣より、肥満(腹囲:男性 102 cm 以上、女性 88 cm 以上)であるが、糖尿病ではない参加者を募り、DHA が豊富な魚油サプリが インスリン抵抗性を改善するかどうかを調べました。
魚油群は2 g の魚油(860 mg DHA + 120 mg EPA)を(n= 38)、対照群は 2gのコーン油を毎日、摂取しました(n=35)。 12週間の試験期間の後、それぞれの血液を調べてみると、魚油サプリを摂取した群は、赤血球膜のEPA+DHA含量が増加すると共に、空腹時インスリン値とHOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)値が有意に低下していました。この効果は試験前の空腹時インスリン値とHOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)値が高い人、すなわち、糖尿病予備群の人で、顕著に現れることもわかりました。」(日本脂質栄養学会 オメガ博士による最新論文紹介から抜粋) |
インスリン抵抗性 |
インスリンが分泌されているにもかかわらず、その働きが悪いために血糖値が下がらない状態。 |
出典: DHA・EPA協議会ニュースレター(VOL.1 2014年3月)健康診断の目的である脳卒中や心疾患などの心血管疾患の予防に対するDHA・EPAの可能性 |
出典: 日本脂質栄養学会 オメガ博士による最新論文紹介:EPA・DHAと糖尿病との関係は如何に? |
9.脂質異常症とは
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があります。 |
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省):脂質異常症
著者名:山岸 和匡 |
10.活性酸素は必要だけど?
厚生労働省のe-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」で活性酸素について次のように書かれています。
活性酸素とは |
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になることをいいます。ヒトを含めた哺乳類では、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化すると考えられています。活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。 |
活性酸素の役割と作用 |
白血球から産生される活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担います。また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されています。
したがって、活性酸素を消去すれば良いという安易な考え方は禁物です。 |
酸化ストレス |
活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化防御機構のバランスが崩れた状態。紫外線、放射線、大気汚染、たばこ、薬剤ならびに酸化された物質の摂取などにより酸化ストレスが引き起こされます。また、過度な運動やストレスも活性酸素の産生を促し、酸化ストレスを引き起こす要因となります。 |
出典:
e-ヘルスネット(厚生労働省):活性酸素と酸化ストレス
著者名:高橋 将記(東京工業大学) |
11.抗酸化物質
公益財団法人 長寿科学振興財団の健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」では活性酸素の種類と抗酸化物質について次のように書かれています。
活性酸素の種類 |
スーパーオキシド、一重項酸素、ヒドロキシラジカル。特に活性酸素の中で毒性が強いものはヒドロキシラジカル。 |
代表的な抗酸化物質 |
ビタミンA(緑黄色野菜等)、ビタミンC(野菜、果物、芋類等)、ビタミンE(植物性油脂、ナッツ類、かぼちゃ等)、コエンザイムQ(いわし、サバ、牛肉、豚肉等)、フラボノイド系ポリフェノール(赤ワイン、大豆、玉ねぎ、緑茶、紅茶、ごま等)、非フラボノイド系ポリフェノール(ウコン、コーヒー、米ぬか等)、イオウ化合物(ニンニク、ネギ類等)、カロテノイド(緑黄色野菜、温州みかん、パプリカ、柿等) |
出典: 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「抗酸化による老化防止の効果」 |
12.善玉コレステロールを増やす合言葉「オサカナスキヤネ」
オ | お茶 |
サ | 魚 |
カ | 海藻 |
ナ | 納豆 |
ス | 酢 |
キ | キノコ |
ヤ | 野菜 |
ネ | ネギ類 |
13.おすすめ本
図解眠れなくなるほど面白い血管・血液の話
著者:栗原 毅/栗原 丈徳 価格 ¥990(本体¥900) 日本文芸社(2024/05発売) 紀伊国屋書店 |
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TJ MOOK 血栓を溶かす、つくらない!食べ物と食べ方
著者:伊賀瀬道也 価格 ¥1,089(本体¥990) 宝島社(2024/12/12発売) 紀伊国屋書店 |
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健康長寿は「抗酸化力」で決まる―生活習慣病は活性酸素病
著者:山門 實 価格 ¥1,760(本体¥1,600) 幻冬舎メディアコンサルティング(2024/03発売) 紀伊国屋書店 |
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ロカボで食べるとやせていく―緩やかな糖質制限
著者:山田 悟 価格 ¥1,100(本体¥1,000) 幻冬舎(2016/06発売) 紀伊国屋書店 |
14.まとめ
まず、動脈硬化が進まないようにする。そのための運動、食事、質の良い睡眠について計画を立てて実行していく事が重要ですね。いろいろと見てきましたが、ここでも水分と塩分、インスリン分泌量、善玉・悪玉コレステロール、活性酸素のバランスがキーワードになっています。
運動 |
定期的に有酸素運動をする(ウォーキング、エアロビクスダンス、サイクリング等)。 |
食事 |
塩分、糖分、脂質を取りすぎない。ロカボな食生活を心がける。
DHA/EPA、低GI食品、抗酸化作用食品、善玉コレステロールを増やす食品などをバランス良く摂取。 |
自律神経 |
ストレスの軽減。ストレスが増えると交感神経ばかり刺激され自律神経のバランスが崩れてしまいます。交感神経が刺激されるとカテコールアミンというホルモンが分泌され血圧が上昇します。 |
睡眠 |
質の良い睡眠を取りストレスを軽減させ副交感神経を働かさせる。 |
禁煙 |
たばこのニコチンは交感神経を刺激し、血圧を急激に上昇。また、たばこに含まれる有害物質は内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進行させてしまう。 |
お酒は適量 |
適量にとどめる。お酒と同量の水を飲む。飲む前に少し食べる。 |
ヒートショック |
血圧が上がりやすい冬場は特に注意が必要。できるだけ温度差が出ないように工夫しましょう。 |
これらの詳しい説明は以下のホームページをご覧ください。 |
出典:
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:リーフレット「健康寿命をのばすために」
著者名:島田 和幸 |